フランスの給料明細を理解してみよう

基礎知識
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フランスの給料明細を目にした誰もが思うこと、それは

働く人
働く人

意味不明…

この4文字に尽きると思います
大丈夫です。分からないのは貴方ひとりではありません。
フランス人も誰でも、最初はみんな自分の給料明細が分からないものです。最後まで分かってない人もいます。

分からなければ、尋ねる。それが基本です。ただし、給料明細の場合、聞かれた人も分からない場合が大半でしょう。しかも、自分の個人情報の羅列である給料明細を同僚に見せるのには抵抗があると思います。

というわけで、この記事では、給料明細の「見方」について解説していこうと思います。

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給料明細の外観

まずは、給料明細の外観からみていきましょう。皆さんの手元にも、同じような給料明細があると思います。

フランスでは給料明細への記載事項が法律で決められているので、どこの会社で働いていても、大体は同じような体裁となっています。(携帯で読んでいる方はうまく表示されないかもしれません。パソコン表示をおすすめします)

日本の給料明細に比べて、その情報量に圧倒されることでしょう。
フランスの給料明細をカテゴリーごとに分けると以下のように色分けできます。

一番最初の灰色が個人情報欄。
緑色はBrutと呼ばれる、会社から支給されるお金の総額。
ブルーはCotisationsという社会保険料や年金、税金の総覧。
黄色はNet、すなわち実際に受け取る手取り金額のこと。
ピンクは有給休暇に関わる情報で、最後のオレンジが1月から12月の1年間の労働時間、給料、社会保険料の総額が記入されたまとめ情報になっています。

以下、ブロックごとに詳しく見ていきましょう。

第1ブロック ; 給料明細の個人情報欄

給料明細上部には、勤務先と貴方の会社における個人情報が書かれています。

  1. 会社の所在地
  2. 会社番号(Siret)
  3. 勤務先のConvention collectiveの名前
  4. 貴方の役職、ポストの名前等
  5. 勤務年数
  6. 月の所定労働時間
  7. 貴方の名前、住所

③のConvention collectiveとは業種ごとの就業規則です。Convention collectiveについては、以下に詳しく書いています。同じ会社でも、複数の事業体を抱えている場合、3~5つのConvention collectiveに分かれている場合がありますが、1人の社員に適用されるConventionはひとつのみです

④の役職やポストは今現在、貴方が占めているポストの情報です。基本給が会社との交渉で自由に決まる場合、この情報はいわば付属情報にすぎません。
レベルや階級ではなく、Coefficientで表示されている場合もあるでしょう。基本給が公務員のように勤務年数に関わる係数で計算される場合、Coefficientの数値=基本給の係数となります。そうでなければ、その職種における最低限の基本給を示す指標となります。

⑥の月の労働時間は、管理職でForfait jourの場合、208 joursのように年の労働日数が書いてあります。
フランスの労働時間については、以下の記事を参照してください。

第2ブロック ; 会社から支給されるお金、いわゆる額面

第2ブロックは、会社から支給されるお金のことで、フランスでは主にBrutと呼ばれます。
Brutの意味は、「生の」という意味で、すなわち社会保険料や年金が引かれる前の、額面のことです

構成としては、Rémunération de baseもしくはBase de salaireと呼ばれる基本給が1行目で、役職手当(Prime)等の毎月支払われる固定の手当がそれに続きます。時間外労働の割増賃金や一時的ボーナスなどは一番最後です。
仕事を休んだ場合や、有給休暇を取得した際も、Brutの欄に含まれます。

そして最後、Total BrutもしくはBrut soumis à cotisationsとあるのが額面総額です。

基本給については以下の記事に詳しいです。

Rってなに?

給料明細でたまにRという表示に出くわすことがありませんか?

これはRappelの略で、前月もしくは前々月の給料情報のことです。
例えば、先月の給料明細に間違いがあった、もしくは払い忘れ等があり、当月の給料明細で修正を行う場合、Rappelとして、前月以前の情報が挿入されます。

第3ブロック ; 給料から天引きされる社会保険料、年金

第3ブロックは、社員が支払う社会保険料、年金、税金の計算です。フランスではまとめてCotisations(分担金)と呼ばれています。通常、左側に社員の負担部分、右側が会社側となります。

BaseはCotisationsの対象となる給料額、Tauxは利率、Montantは実際にあなたの給料から天引きされるCotisationsの金額です。

BaseやCotisationはその人の月の収入、1月からの年度全体の収入、病気で休んだかどうかによっても変わってきます。

通常、従業員が支払うCotisationsは健康保険料、年金、企業年金積立、民間の生活保障保険、加入している場合は共済保険、そして税金です(CSG / CRDS)。
高所得者の場合、さらにCAFと失業保険の負担金を支払います。

Cotisationsについては詳細に解説した記事があるので、興味のある人は読んでください(頑張って書いたわりに一番人気がない記事です)

最後にTotal des cotisations et contributionとある1行が、給料から天引きされるCotisationsの総額です。

しかし、これで終わりではありません!

所得税の支払い Impôt sur le revenue

まず、Cotisationsの後にNet à payer avant impôt sur le revenuの1行があります。

Netとは「正味の」という意味です。実際に受け取るお金ということです。

ただし、Net à payer avant impôt sur le revenuはその名の通り、所得税が引かれる前の金額で、BrutからCotisationsのトータルを引いた金額+Ticket restaurantや交通費の払い戻し等の金額の合計を指します

さて、その後に所得税の支払いが待っています。Impôt sur le revenueがそれにあたります。

所得税が源泉徴収される場合、その金額が引かれ、その後のNet à payerで完結です。

Net à payerが実際に自分の銀行口座に振り込まれる、貴方の給料ということになります。

Net à payer ? Net social ?

BrutからNetへ、またNet socialについて詳しく解説した記事を以前かきました。ぜひ参照してください。

第4ブロック ; 有給休暇の情報

多くの場合、給料明細の下方に有給休暇のカウンターがあります。
有給休暇の獲得、取得の日数を給料明細に表示するのは義務ではないので、たまーにですが、何も表示がない明細もあります。

CPはCongés payésの略です。

CP N-1は去年度を、CP Nは今年度を意味します。NはAnnéeの略です。会社によってはCP Acquis、CP En coursという表示になっているかもしれません

有給休暇の年度の数え方は1月から12月ではなく、6月1日から翌年の5月31日で1年と数えます。(公共工事従事者、芸術舞台関係者等の一部例外を除く)。

よって、CP N-1は貴方が去年度に獲得して、今年の6月1日以降使える有給休暇の日数です。

上の例だと、2023年8月の時点で、去年度に獲得したCPが30日で、そのうち23日を使い、残りが7日です。

CP Nとは今現在、貴方が積み上げている獲得CPの日数です。

通常、1ヶ月の在籍で労働時間に関わらず2,5日の有給休暇の権利を取得できます(会社によっては2,08日)。

よって、CP Nのカウンターは普通に仕事をしていれば、1ヶ月毎に上乗せされます。

5月31日の時点で30日になったカウンターは、6月の給料明細でCP N-1に移行します。そして、CP Nはまた0からスタートします。

CPは今年貯めたものを翌年度の5月1日以降使うことができますが、会社側の許可があれば、翌月以降使うこともできます。
その場合、CP NにあるPrisの部分に消化分が加算されます。

有給休暇については、以下の記事で詳しく解説しています。

第5ブロック ; 1月から12月の1年間の給料情報

最後のブロックは、1月から12月までの1年間、貴方が受け取った給料(Brut)の総額、Net imposableの総額、そしてplafond de sécurité sociale、略してPSSと呼ばれるCotisationsの負担率を計算する分水嶺となる金額です。

所得税やCotisationsは1年を通して漸次的に調整を行っていきます。最後のブロック情報は、あなたの収入がPSSを超えたかどうか、つまり分担金の負担割合が増えるかどうかを確認するためのものです。

plafond de sécurité socialeについて詳しく知りたい人は、以下の記事を読んでみてください。

通常、12月に受け取る給料明細にあるCumul net imposableが翌年度に行う所得税申請の数字に一致します。

そして、翌年度の1月1日にカウンターは新しく0から始まります。

まとめ

民間では、会社側が社員に給料明細を渡すのは義務です。(公務員の場合、義務ではありません)

ただし、雇用主側に給料明細を再配布する義務はありません。(もちろん、要請されれば、再配布しますが…)

失業時にPôle emploiに数年前の給料明細の提出を求められることもあれば、定年退職後、年金を受け取る際に年金機構事務所の不手際で年金の支払い年月に穴があり、数十年前!の給料明細のコピーを提出するはめになった、等々の話はよく聞きます。

いつ、どこで必要になるかわかりません。給料明細は大切に保存して失くさないようにしましょう。

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