基本給について知ろう

基礎知識
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求職中の猫
求職中の猫

この間、求人広告をみて応募した会社の面接いってきたんだけど、なんか変なんだよね・・・

友達
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なにが変なの?

求職中の猫
求職中の猫

広告には週35時間で基本給2100€って書いてあったんだけど、面接時に、年末ボーナスとか残業代込みの基本給だって言われたんだよね

友達
友達

えーということは、基本給はもっと低いってこと?

求職中の猫
求職中の猫

うーん、わかんない・・・どうなんだろう・・・

基本給とはSalaire de baseのことですが、Salaire brutとごちゃまぜになっている人がいます。

Salaire de base は最低賃金(SMIC)と関わりがあるだけなく、各種計算の基になる金額です。

一方で、Conventionによっては色々な職業手当が加算され、何が基本給の要素なのか少し分かりずらいことも。

というわけで、この記事では、Salaire de base、基本給のことについて解説していきます。

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Salaire de base (基本給)とは何を指すのか?

労働契約書に記載された、雇用主側と労働者側とで決められた基本給がSalaire de baseになります。

その基本給に時間外労働、ボーナス、欠勤等々の月々の要素を加えたトータルの額面がSalaire brutです。

Salaire brutから健康保険料等の負担金と税金を差し引いた、実際に自分の銀行口座に振り込まれるお金、いわゆる手取りが、Salaire netです。

Salaire de baseに含まれないもの

Salaire de baseには以下の項目は含まれません

  • 勤続手当、危険物取り扱い手当、休憩手当等の各種職業手当
  • 年末ボーナス(13ème mois)
  • 特別ボーナス(Prime exceptionnelle)
  • 会社から提供される食事、車、住居等の費用(Avantage en nature)
  • 時間外労働に対する割り増し賃金
  • チップ

求人広告に載せてある月給とは、主にこうした要素を抜いたSalaire de baseのことを指します。同様に、労働契約書の金額もSalaire de baseを意味します

求人広告に13ème moisを含めた給料を提示したい場合、年俸としてグローバルに提示することになります。

また、基本給2000€と書いた後に、Avantagesとして年末ボーナス、会社の業績に応じたボーナス有り、Mutuelle(共済保険)60%会社負担、等の記述が別に添えられているはずです。

フランスの基本労働時間は週35時間、月に換算すると151,67時間ですが、それを超えた労働時間の契約を結ぶこともできます。その際には、35時間+35時間を超えた割り増し分の賃金=基本給となります。

Salaire de baseはどうやって決まる?

基本給は、雇用主側と労働者側の交渉で自由に設定することができます

唯一の条件は、SMIC(法定最低賃金)を下回ってはならない、ということです。

また、各Convention collective(団体協約)で定められたカテゴリーごとの基本給を下回ることもできません。

例えばファーストフード業界の団体協約では、以下のように最低賃金を定めています。

この表に従うと、Niveau4、EchelonAのカテゴリーで労働契約を結ぶ際の最低時給は14.75€、月収にして2177.98€です。つまり、Niveau4A、基本給1747,23€という契約を結ぶことはできません。

フランス政府のサイトで各Convention collectiveの基本給、勤続手当のあるなし等各種条件を調べることができます。大変に便利なサイトなので、ぜひ一度覗いてみてください。https://code.travail.gouv.fr/convention-collective

給与形態について

主に3つの給与形態が存在します。

  • 労働時間に対する基本給
  • 売り上げに対する基本給
  • 年間労働日数制
労働時間に対する基本給

一番多い給与形態で、月の労働時間に対して給料が支払われます。フランスの法定労働時間は週35時間なので、パートタイムの場合は、その割合に応じて基本給及び手当が変化します。

売り上げに対する基本給

いわゆる歩合制のことです。毎月支払われる固定給(主にフルタイム労働の50%から70%)と売り上げに対する成果報酬で基本給が構成されます。

年間労働日数制

Forfait jourと呼ばれる、管理職もしくは管理業務を担う人に適用されることが多い労働形態です。労働時間ではなく、年間の労働日数に対して給料が支払われます。日本でいう裁量労働制です。

SMIC(法定最低賃金)と基本給の比較

SMICの改定

SMIC(法定最低賃金)は最低でも1年に1回、その年の1月1日に物価の上昇率を参考に改定されます。

一方で年内に物価上昇率が2%を超えた場合、上昇率に合わせたSMICの引き上げが行われます。2022年には1月、5月、8月の3回、最低賃金が改定されました。

SMICの上昇に対して基本給が下回る場合、基本給そのものが改定されるか、Complément de salaireもしくはComplément du SMICと呼ばれる一行がBrutの項目に挿入されて、基本給とSMICの差額分を補填します。

SMICが上昇した場合、その上昇率に合わせて他のカテゴリーの基本給も上がるのか?と疑問に思う人がいるかもしれません。例えば、上記のファーストフードのConvention collectiveに従うと、1Aの基本給=SMICです(2023年9月現在)。2024年の1月に例えばSMICが12€に引き上げられたとしたら、1Aから2Bまで全員同じ基本給となり、当然不満に思う人がでてきます。
答えはOuiとNonの両方です。
Conventionの給料体系の改定は行われます。ただし労働者団体と雇用主団体との交渉が必要なので、少し時間がかかります。
雇用主側との交渉でConventionよりも有利な基本給をもらっている場合、つまりすでにSMICを上回っている場合、SMICの上昇は交渉の材料にはなりますが、基本的には基本給は変わりません。ただし、会社によってはSMICの上昇率が一定の数値を超えたら全社員の基本給の見直しを行う、といったAccord d’entreprise(企業内協定)を設けているところもあります。

基本給がSMICより上か下か知るためには?

基本給がSMICを上回っているかどうか確認するためには、以下の要素を合算します。

  • 基本給
  • Avantages en nature(現物給与)
  • 成果報酬

Avantages en natureとは現物で支給される給与のことで、例えば雇い主側から提供される住居、社用車、食事のことです。Avantage en natureは健康保険等の負担金の対象となるので、基本給や時間外労働報酬と同様にBrutの計算に含めます。負担金を支払った後、再度Netの行でその金額分が差し引かれます。

成果報酬とは、売り上げに対して支払われる報酬のことです。またある仕事に対するパフォーマンスの対価として支払われるボーナスもこれに含まれます。

以上の3つの要素を合計した金額がSMICと比較されます。

SMICの給料明細への記載

例えば、ある販売員がフルタイムで基本給700€+売り上げに対する5%の成果報酬で働いていたとします。8月の成果報酬が600€だとすると、1300€でSMICの1747,23€にとどきません。

その場合、彼の給料明細は以下のようにSMICの分を補填する一行が追加されます。

Salaire de base700,00 €
Commissions600,00€
Complément de salaire ou complément du SMIC447,23€
TOTAL1747,23€

まとめ

基本給は雇用主側と労働者側とで自由に決めることができます。

民間の場合、多くの企業が年に1度、Entretien annuel(年次面接)を行います。これは雇用主側にとっては義務ではないのですが、社員が1年の評価と今後の目標などを上司と話し合う大事な機会です。

2022年や2023年度のようにSMICが年に3度も更新されるような状況だと、自分の基本給とSMICに大差がないような状況に陥ることもあります。

そうなると、「新人よりも責任のある仕事をしているのに基本給がさほど変わらないなんて…」と不満に思うこともあるでしょう。

こうした面接を利用して、自分の評価とそれに見合う基本給の上昇を交渉しましょう。

Entretien annuelが予定されていなくても、上司に願い出て個人面談を行うこともできます。

フランスでは基本的に自分で交渉をしない限り基本給は上がりません。自分の仕事がどう評価されているのかを知る機会にもなるので、臆さずに率直に上司と話しをしましょう。

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