Congés payés(有給休暇)中の給料計算方法について知ろう

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有給休暇を取得した月の給料明細がある人はぜひ手元において記事を読んでください。

Congés payésを取得した月(もしくは翌月)の給料明細にはBrutの欄に2つの行が追加されているはずです。

CPを取得して休んだ日数がマイナスで、有給休暇中の給料がプラスで記載されています。

このマイナスとプラスの計算、実はそう単純ではありません。

そして、不誠実な雇用主の場合、その「ズル」がここで発覚します。

皆さんの有給休暇は正しく計算されているかどうか、この記事で確認してみましょう。

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Congés payés(有給休暇)の計算の大原則

まず最初に有給休暇の計算で一番大事なことを。

有給休暇を取得した際の給料明細はMaintien de salaireが大原則です。

Maintien de salaireは給料維持ということです。

つまり、会社を休む日(マイナス)とその補償金額(プラス)はイコー(場合によっては補償金額が上回る)でなくてはなりません。

これは、とても大事なことなので、頭の隅に必ず入れておいてください。万一、給料明細でマイナスが上回るようなことがあれば、必ず雇用主に問い合わせましょう。

Congés payés取得による欠席日の計算方法

最初に有給休暇を取得した日のAbsence(欠席日)の計算方法について見ていきましょう。

会社がJour ouvrables(1ヶ月で2,5日、合計30日の有給休暇)とJours ouvrés(1ヶ月で2,08日、合計25日の有給休暇)のどちらを採用しているかによって、ふたつの計算方法があります。

Jour ouvrablesは1週間を日曜日と祝日を除く週6日として計算する方法です。

Jours ouvrésは土曜日と日曜日、祝日を除いた週5日で計算します。

どっちの方法を選択していても、結果的には同じCP取得/消費になります。

Jour ouvrablesとJours ouvrésの詳しい説明については以下の記事で解説しています。

Jour ouvrablesで計算

有給休暇取得による欠席日は以下のように計算します。

参考給料 / 26 x 取得したCPの日数

例えば参考給料が2000 €で1週間(日曜を除いた6日)のCPを取得したとすると、

2000 € / 26 x 6日 = 461,54 €

よって、給料明細上にはAbsenceもしくはRetenuとして-461,54 €が記載されます。

Jours ouvrésで計算

Jours ouvrésでの計算は以下の通りです。

参考給料 / 21,67 x 取得したCPの日数

上と同様に参考給料が2000 €で1週間(土日を除いた5日)のCPを取得したとすると、

2000 € / 21,67 x 5日 = 461,47 €

よって、給料明細上には-461,47 €と記載されます。

Congés payésの支払いの計算方法

有給休暇の支払いの計算方法には二通りあります。

  1. 給料の維持(Maintien de salaire)
  2. 前年の6月1日から当年の5月31日の給料総額の10分の1( 1/10ème)

雇用主側は必ず2つの方法で計算してより有利な方を選択することが法律で義務付けられています。

給料の維持(Maintien de salaire)

給料の維持とは、CPを取得した欠席日=CPの補償金額のことです。給料明細上の動きは次のようになります。

Retraite CP ( もしくはAbsence CP ) = Paiement CP(Indemnité CP)とイコールになり、Brutだけ見れば通常通り勤務したのと同様の結果になります。これが給料の維持です

残念ながら、不誠実な雇用主の下で勤務すると、Retraite CPがPaiement CPを上回ることがあります。つまり、有給休暇での欠席日が補償金額よりもより高く評価されるのです。
しかし、一番最初に書いたように、有給休暇の取得の際の計算は給料維持が大原則です。
有給休暇を取ったがためにその月の給料が減った、というようなことはあり得ないし、あってはなりません。

前年の6月1日から当年の5月31日の給料総額の10分の1( 1/10ème)

2つ目の計算方法は、法律で定められたCPの取得期間である前年の6月1日から当年の5月31日の給料の総額の10分の1を獲得したCPの日数で割る方法です。

CPの取得期間についてのおさらい

有給休暇の取得期間は前年の6月1日から当年の5月31日です。

この期間に獲得したCPを、当年の6月1日から翌年の5月31日の間に使うことができます。

例えば、2022年6月1日にCPの獲得カウンターは0になり、1ヶ月ごとに2,5日(Jours ouvrésの場合は2,08日)がカウンターに貯まります。

この2022年6月1日から2023年5月31日に貯まったCPは、(公式には)2023年6月1日から2024年5月31日の間に使用することができます。

給料総額の10分の1( 1/10ème)の計算方法

1/10èmeの計算方法について、実際に見ていきましょう。

ある人の2022年6月から2023年5月の給料支給額が以下の通りだとします。

2022年06月 2000 €
2022年07月 2000 €
2022年08月 2100 €
2022年09月 1800 €
2022年10月 2000 €
2022年11月 2500 €
2022年12月 2100 €
2023年01月 2000 €
2023年02月 2000 €
2023年03月 2200 €
2023年04月 2300 €
2023年05月 2000 €
2022年06月から2023年05月の合計収入25,000 €

この期間に獲得した有給休暇は30日(Jours ouvrables)です。よって、1/10èmeで計算すると、

25,000 € / 10 = 2500 €

これが意味することは、2022年06月から2023年05月に獲得した合計の有給休暇の日数=30日は金銭に換算すると2500 €の価値があるということです。
CP1日当たりだと 2500 € / 30日 ( Jours ouvrablesの場合) = 83,33 € になります。

Congés payésの計算から支払いまでの流れ

給料の維持1/10ème、二つを比較して有利な方をとります。具体例を挙げて計算から支払い方法までの流れを見てみましょう。

ビジネスマン
ビジネスマン

2022年6月から2023年5月の総支給額は31,000 €
2023年8月現在の基本給は2500 €+勤続手当120 €

8月には全社員に夏の特別ボーナス500 €が配布される

8月に2週間の有給休暇を取得(12日のCP)
会社はJours ouvrablesを採用

まず、有給休暇取得による8月の欠席日を算出します。

(2500 € + 120 € ) / 26 x – 12日 = – 1209,23 €

給料維持(Maintien de salaire)の場合、

– 1209,23 € = + 1209,23 €

次に1/10èmeの計算方法で比較します。

31,000 € / 10 = 3100 €
3100 € / 30日 x 12日 = + 1240,00 €

給料維持(Maintien de salaire)と1/10èmeを比較すると、1/10èmeのほうがより有利ですね。
よって、+ 1240,00 €が取得したCPに対する補償金額になります。

当然のことながら、もし1/10èmeが給料維持(Maintien de salaire)を下回る場合、給料維持(Maintien de salaire)の金額が採用されます。

給料明細は以下の通りです。

Congés payésの支払い方法

有給休暇の支払い方法には二つあります。

  1. 上記のように、従業員がCPを取得するごとに比較を行い有利な方を支払う方法
  2. とりあえずMaintien de salaireで支払い、従業員が全てのCPを取得し終えた時点、もしくは新しいCPカウンターに移行する5月の給料明細で1/10èmeと比較を行い、1/10èmeのほうが有利であれば差額をまとめて支払う方法

2番目の場合、給料明細にはRégul annuelle CPやComplément 10ème CP等の一行が挿入されます。

当然のことながら、Maintine de salaireのほうが1/10èmeを上回っている場合、調整はありません。

例えば、今年、昇進して給料が上昇した、営業職で去年より今年のほうが売り上げがいい、去年はパートタイム勤務だったが今年からフルタイム勤務になった、という場合はMaintine de salaireのほうがずっと有利になるはずです。

退職時のCongés payésの清算方法

退職時には退職日の日までに獲得したすべてのCPと前年の残りのCPは清算されて、金銭に代えて補償されます。

計算方法は上記で見てきたのと全く同じ方法です。給料維持と1/10èmeの両方の方法で計算し有利な方を取ります。

例えば2023年12月に退職する場合、2023年6月から12月に獲得したCPは1/10èmeで計算すると、

6月から12月の給料の総額 / 10

すでに何日かCPを消費している場合、

( 6月から12月の給料の総額 / 10 ) / 6月から12月の間に獲得したCP x 残りのCP

となります。その際、給料の総額には、前年のCPを清算した金額は含まれないので注意してください。

1/10èmeの土台となる参考給料額について

1/10èmeの計算時に用いる12ヶ月分の参考給料は、給料明細にかかれたSalaire Brutとイコールではありません。

何の要素を12ヶ月分の給料総額に含めるか含めないか、実は40項目以上にわたって細かく分類されています。以下はその一例です。

参考給料に含める参考給料に含めない
有給休暇中もその使用、保持を許された現物支給(社用車、社宅等)年末に支払われるボーナス(13ème mois)
残業手当特別ボーナス
休日、深夜の割増手当会社の業績に応じて支払われるボーナス
勤続手当払い戻しの性質を持つもの(交通費等)
目標達成による個人的ボーナス無欠勤ボーナス
国から給料を補填される一部の欠勤(消防団の活動など)危険物取扱いボーナス

また、病欠、労災での欠勤、産休等で会社を休んだ場合、その基本給は再構成されて計算式に組み込まれます。

何を参考給料に含めるか、含めないかはかなり頭の痛い問題で、私たちGPも時には事典を引っ張りだして(給料明細事典というものがあるんですよ、とっても分厚いのが)、同僚や上司とあーだこーだと言い合いながら、参考給料に含める要素を見極めていきます。
基本的には、基本給に付随する「毎月一定額が支払われる」ものは、参考給料に含めますが、年に1回のボーナス的なものは含めません。
よって、13ème mois でも、それが12分割され、毎月振り込まれる性質のものである場合、参考給料に含めます。

まとめ

2つの方法で比較して従業員にとって有利な方を選択する、という方法は民間の全ての会社が実施するよう、労働法で義務付けられています。

よって私たちGPも従業員が有給休暇を取得した際にはその金額を確認する作業を必ず行います。

「こんな面倒な作業を従業員全員に?本当に?」

と思うかもしれませんが、本当に全員分のコントロールを行います。

事務職系の場合、ほぼ今年の給料のほうが前年比で増加している上に個人的ボーナスがつくのは珍しいので給料維持が有利ですが、営業職や個人的ボーナスの変動が大きい場合、労働時間に変動があった場合など、1/10èmeの計算がより有利なことも少なくありません。

いずれにしても、法で義務付けられている以上、面倒でも行う必要があります。

ところが、こうした作業を行っていない雇用主もいます。

給料維持の原則を無視したり、1/10èmeとの比較を行っていなかったり…。

従業員が50人に満たない会社の場合、多くは会計事務所に給料会計も含めて外部に委託しています。

大きな会社になれば、規則遵守が大原則です。

個人的な見方ですが、法律を遵守していない会社は中規模の家族経営的な会社が多い、と思います。

自社の会計部門があり、RHもいるけど、みんな身内、友達、親戚、長年働いている気心の知れている人、的な会社です。

もし、自分のCPの支払い方法に疑問がある場合、この記事の通りに比較してみてください。

また、意図的にではないにしろ、GPが計算を間違えている場合もあり得ます。

去年のほうが今年よりずっと稼いでいるはずなのに給料維持はおかしいなぁ、等疑問がある場合はRHに問い合わせてみましょう。会社の方針で5月にまとめて清算されるかもしれません。

有給休暇にまつわる疑問は多岐にわたり、ひとりでそれを解決するのは大変です。

ただ、漠然と「CPの計算、おかしいと思うんですけど…?」と質問するよりも、自分で簡単にでも計算して、「私の計算では〇〇€の差額があるんですけど確認してもらえますか?」と準備して質問するほうがより説得力があります。

時間がある人、興味のある人はぜひ記事の方法で自分のCPを再計算してみてください。

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