フランスで育児休暇(Congé de paternité)を取得するための手続きについて知ろう

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社員
社員

こ、子供が生まれましたー!

Tamaki
Tamaki

わー!おめでとうございます!

社員
社員

というわけで、さっそく育児休暇を申請します!

Tamaki
Tamaki

はい、じゃあ説明しますね!会社のConvention collectiveに従ってまず3日の出産休暇が与えられます。その後、セキュから合計で25日の育児休暇が与えられます…あ、これはカレンダー通りに数えますから注意してくださいね。25日のうち4日は出産休暇の直後に取得することが義務付けられています。そのあと、残りの21日は最低5日連続していることを条件に出産から6ヶ月以内に…

社員
社員

ちょ、ちょ、ちょっと待って!情報量が多すぎて頭が回らない…

育児休暇、Congé de paternitéの仕組みは決して難しくはないのですが、情報量が多いです。

子供が生まれてから慌てて申請することがないように、民間の会社でどのように育児休暇の申請を行えばいいか、この記事で整理しましょう。

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誰が育児休暇を申請できるのか?

子供の出産に伴って取得できるのが育児休暇、Congé de paternitéです。

この休暇は、生物学上の父親に限らず、以下の状況でも取得できます。

  • 子供の生物学上の父親である。結婚、Pacs、交際相手、別居、離婚、子供及び子供の母親とは一緒に生活をしていない等の家庭状況は問わない
  • 子供の生物学上の父親ではないが、子供の母親と生活を共にしている。結婚、Pacs、交際相手等の法的関係は問わない。

つまり、子供の生物学上の父親であれば無条件で育児休暇 Congé de paternitéを取得できる一方で、子供の母親と同居している相手であればCongé de paternitéを取得できるということです。

よって、同性の交際相手もCongé de paternitéを申請できます

子供の母親が子供の父親と別れて新しい交際相手と同居をしている場合、生物学上の父親と同棲相手の2人が育児休暇を申請できます。

公的な関係ではない、つまり婚姻やPacsを結んではおらず、子供の生物学上の父親ではないが子供の母親と同棲している場合(つまり彼氏彼女の関係です)、育児休暇の申請時にセキュから同居証明書を求められます。
同居証明書は市役所で申請することができます。また、母親からの同居を認める一筆も有効です。

育児休暇の申請に条件はあるの?

育児休暇は契約形態、勤務年数に関わらず誰でも申請できます

短期契約のCDDでも、会社で働き始めて数か月の人でも、誰でもOKです。

ただし、育児休暇中にCDD契約の最終日を迎えたら、契約は終了となります。育児休暇を理由にした契約日の繰り越しはありません。

育児休暇の期間について

育児休暇には雇用主が負担する出産休暇セキュが負担する育児休暇の二つのピリオドに分かれます。

出産休暇 / Congé de naissance の取得

まず子供が生まれた翌日から出産休暇Congé de naissanceを取得できます

むしろ、取得が義務です。必ず取得させられます。労働法典ではこの期間は働いてはいけない、としっかり明記されています。

出産休暇は育児休暇と混同しがちなのですが、この二つは別物です。

出産休暇は雇用主側が100%負担する特別休暇です労働法典では3日と定められていますが、Convention collectiveによっては5日、7日と決められているところもあります。

よって給料明細上は+-0です。

出産休暇はJours ouvrablesで計算します。すなわち、日曜日を除いた6日です。
例えば出産が金曜日の夜で、会社のConvention collectiveでは労働法典と同じく3日の出産休暇が取れるとします。この場合、土曜日、月曜日、火曜日で3日と数えます。

育児休暇 / Congé de paternité の取得

出産休暇の後に続くのが育児休暇、Congé de paternitéです。

Congé de paternitéで休んだ際の給料を補償するのはセキュ(健康保険機構)です

取得できる日数は生まれてくる子供の数によって違います。

  • 子供が1人の場合は25日
  • 子供が2人以上の場合は32日

このうち、4日は必ず出産休暇の後に連続して取得することが義務付けられています。

例えば金曜日の夜に子供が生まれた場合、以下のようになります。(CN= 出産休暇 CP=育児休暇)

出産CNCNCNCPCPCPCP出勤?

出産後の3日が労働法典で義務付けられているように、セキュの4日も出産休暇連続して取得する必要があります。

「仕事が気になるから、水曜日と木曜日は出社して金曜日から4日取ろう」とはできないので注意してください。(もちろん、会社側が本来注意すべきなのですが…)

出産休暇の場合とは違い、セキュの日数の数え方はカレンダー通りになります。すなわち、日曜日も含めた1週間を7日、1月の場合は31日と数えます。よって、日曜日も1日分として消費されます。

残りの育児休暇の取得方法

子供が1人の場合、義務期間の4日を引いた21日が自由に取得できる残りの日数です。

21日は取得してもしなくてもかまいません(実際はほぼ全ての人が取得しますが)。

残りの日数は4日の義務期間の後すぐに一気に取得しても、数か月先に取得してもOKです。

ただし、ルールがあります。

  • 出産から6ヶ月以内に全ての日数を消化する
  • 取得のピリオドを分ける場合は、一回の期間が最低でも連続した5日になるようにする

例えば、1月に子供が生まれたとしましょう。

出産休暇と4日の育児休暇を取った後、残りの21日を後日分割して取るとします。

この場合、2月に10日、4月に10日、6月に1日とはできません。

同様に、3月に18日、5月に3日もダメです。

1回のピリオドが最低でも連続した5日になるように、例えば3月に15日間、5月に6日間と調整する必要があります。

出産と有給休暇が重なった場合は?

子供の出産と有給休暇が重なった場合、出産休暇および4日のセキュの取得義務期間は持ち越され、有給休暇の最終日に連続して取ることが義務付けられています。
例えば、5月1日から19日まで有給休暇を取得し、5月5日に子供が生まれた場合、有給休暇終了日の20日から22日が3日の出産休暇で23日から26日が育児休暇となります。
先述のように、別の日に改めて取る、ということはできないので、注意してください。

育児休暇の申請方法について

会社への手続き

出産直後の義務期間を除いた、残り育児休暇を申請する際には、その1ヶ月前までに雇い主に手紙で申請する必要があります

もちろん、子供はいつ生まれてくるかわからないので、手紙で希望した通りに取得しなくてはいけないわけではありません。しかし、その場合でも、必ず手紙で後日再申請する必要があります

手紙には育児休暇の初めと終わりの日を記入し、いくつかのピリオドに分かれる場合はその全てを記載するか後日、新たに申請します。

申請書類のひな型を政府サイトからダウンロードできます。
https://www.service-public.fr/particuliers/vosdroits/R32176

1ヶ月前に申請した場合、雇い主側はその日程を拒否することはできません。

会社側に必要書類の提出

出産休暇および育児休暇のセキュへの申請は会社側が行います。その際、会社側から以下の書類を求められます。

  • 子供の出産証明書 Acte de naissance のコピーもしくは家族手帳 Livret de familleのコピー
  • 子供の母親との関係を示す公的な書類のコピー(婚姻書、Pacs証明書等)
  • 子供の生物学上の父親ではない場合、子供の母親との共同生活を証明する公的書類(市役所での宣誓書)もしくは子供の母親の宣誓書

書類が足りない場合、セキュから直接連絡がくるので、その際には自分でセキュに書類を送ります。

育児休暇中の給料補償

セキュの条件を満たした場合、育児休暇中に給料補償が受け取れます。なお、前述のように手続きは会社側が行います。ただし、転職してすぐの場合や前職が不定期なCDD契約だった等の場合はセキュから直接に被保険者に連絡がいき、必要書類の提出を求められます。

給料補償を受け取る条件

セキュから給料補償を受け取るためには、以下の条件を満たしている必要があります。

  • 申請時から遡って3ヶ月の間に最低でも150時間の勤務、もしくは6ヶ月の間に1015×SMIC(最低賃金)の時給(2024年1月現在、11824,75€)に対するCotisations(負担金)を納めていること
  • 季節労働者もしくは不連続で複数の契約形態で働いている場合、前年度の1年間に600時間働いていること、もしくは2030 x SMICに対するCotisationsを納めていること

セキュからの補償金額

育児休暇で会社を休む際のセキュの補償金額は以下の通りに計算されます。なお、計算方法は産休の場合も同様です。

(前の月の3ヶ月分の給料Brutの合計 – 21%) / 91,25 – 6,7% = 実際に振り込まれる金額

育児休暇で会社を休む際は病気や労災の場合とは違い、ほぼ給料の100%が補償されます。

気になる人にむけて、計算式を少し詳しくみていきましょう。
セキュは常に出来事(病気、労災、出産)が起こった前の月の給料を参照給料とします。例えば5月に出産があった場合、参照となる給料は2月、3月、4月のそれです。
-21%とはNetの金額を導きだすだめです。
出産と育児休暇に限って、休んだ場合も給料がほぼ変わらない=Netの維持になります。
そこで、セキュでは従業員側が負担する一般的なCotisationsの合計である21%を引いて、Netの金額を算出します。
91,25は3ヶ月の平均日数です。1年は365日なので、365 日 / 12ヶ月 x 3ヶ月で91,25日となります。
要するに過去の3ヶ月分の給料の平均が育児休暇中の1日当たりの補償金額になるというわけです。
最後の-6,7%はCSG/CRDSと呼ばれる税金のことで、セキュが代わりに関連機構に納めます。

まとめ

いかがでしょうか。難しくはないけど、複雑ですよね。

簡単にまとめると、

  • 出産休暇後のセキュの4日は義務
  • 残りの日程は出産日から6ヶ月以内に消費する
  • 分割して取得してもOK、ただし1回のピリオドが最低でも連続した5日になること

育児休暇の申請は会社側が行うので、本来なら会社のRHもしくは雇用主が気を付けなければいけないのですが、もし会社側がミスをしても不利益をこうむるのは従業員側です。

特に、連続した5日の条件を忘れて、育児休暇を後日18日取得した場合、この3日は自動的に消滅してしまいます。

会社まかせにはせずに、自分自身でも気を付けましょう。

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