フランスで初めての仕事~1ヶ月目の基礎知識

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この記事では、フランスで初めて働き始めてすぐに直面する(であろう)労務に関する疑問について解説していきます。

それぞれの内容については、過去に詳しく解説した記事を書いているのですが、ここでは多くの人が働き始めたときに「あれ、これってどうなの?」と疑問に思いやすい内容に絞って、簡単にコメントをしています。

労務関係はフランス人でもよく分かっていないことがあり、フランス人同僚や知人に質問しても全員バラバラの回答が返ってくることがあります。

ここで基礎知識を学んで、頭の片隅に入れておけば、いざという時に役立てるかもしれません。

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はじめに

勤務先の労働条件は、フランスで働く全ての労働者に適用される労働法典、勤務先が所属している産業別のConvention collective、会社独自の規則Accord d’entreprise、この3つのせめぎ合いです。労働者にとって一番有利な内容が適用されます。

この記事は、全ての人に当てはまる、労働法典の情報を基に書いています。Convention collectiveや会社の規則の方が有利な場合は、もちろんその条件が労働者に適用されます。

交通費は会社側が半額負担

自宅と仕事の通勤に公共交通機関(バス、トラム、電車、地下鉄)を利用する場合、交通費の半額かそれ以上を会社側が負担します。ただし、定期券に限ります。一日乗車券ではダメです。

月の途中での入社でも、定期券を購入したのであれば半額が払い戻されますが、週の労働時間が会社の定める50%以下の場合はその割合に応じた金額が払い戻されます。

勤務初日に買った定期券の領収書を保存しておきましょう。

会社のMutuelleには加入が原則

基本的には会社のMutuelle(民間の共済保険)へ加入します。入社時にMutuelleの申請書に記入することになりますが、すでに配偶者のMutuelleに加入している、個人のMutuelleを継続する等の理由でDispense(免除)を希望する場合には、別途申請する必要があります。申請には、自身がすでに加入しているMutuelleの証明書等が求められるので、予め準備しておきましょう。

3ヶ月以下のCDD、Intérimの契約もしくは週10時間等の短い労働時間の場合は証明書の提示なしにMutuelleの加入を辞退できます。

給料日は会社が決める

給料日は会社側が自由に設定できます。多くの会社では月末の26日~29日に設定していますが、翌月支払いのところもあります。

家賃、住宅ローン、ガス、電気、車の保険などの料金引き落とし日との兼ね合いを確認しておきましょう。

給料日は会社側が自由に設定できますが、給料日の間隔は一定であることが労働法典で定められています。
しかし、現実にはレストランや商店などの個人店舗の場合は特に、給料の支払いが5日以上遅れることは珍しくありません。
給料の遅延が頻繁に起こる場合は、他の同僚と協力して雇用主側に給料支払日の規則について確認を求める手紙を送ったほうがいいでしょう。

結婚、出産、葬式の有給は勤務年数に関わらず取得できる

結婚、出産、葬式に関する休暇の取得は、勤務年数、雇用形態に関わらず有給扱いとなります

Evènements familiauxと呼ばれる特別有給休暇は、労働法典では以下のように定められています。

特別休暇付与される日数
結婚、PACS4日
子供の結婚1日
出産、もしくは養子の受け入れ3日
子供の死亡5日
配偶者、PACSの相手、もしくは同居人の死亡3日
父、母の死亡3日
義父、義母の死亡3日
兄弟姉妹の死亡3日

通常は、各Conventionの規定のほうが有利もしくは同等なので、そちらに従う場合が多いです。

有給休暇は獲得した翌月から使える

有給休暇は、労働時間に関係なく、2,5日が毎月付与されます(場合によっては2,08日)が付与されます。

有給休暇は基本的にはその年の6月1日から翌年の5月31日に貯めた分を翌年の6月1日以降使うことができます。

一方で、すでに獲得した有給休暇であれば、翌月以降に使うこともできます。例えば、1月1日に入社して、獲得した有給休暇の2,5日を翌月の2月に利用申請しても、ルール上は問題ないです。

ただし、有給を承認するかどうかを決定する権利は雇い主側にあります。

病欠時には48時間以内に連絡を

病気で会社を休む際には、会社にArrêt de travail(休職の診断書)を提出します。提出期限は48時間以内です。

これを超えると、無断欠勤扱いになります

病欠以外でも、突然の事故や家庭の都合で会社に遅刻する、会社を休む際には早めに連絡しましょう。

もらえる?もらえない?Ticket Restaurant(レストランのクーポン券)

Ticket Restaurantという、雇用主側が昼食代を一部補助する制度を聞いたことがあるかもしれません。

Ticket Restaurantは主に会社でお昼を食べる場所がない場合に支給されます(例えば社員食堂がない、休憩室がない等)。

また、補助の金額、雇用主の負担割合など、それぞれの会社によって様々です。詳しいことは、RHから説明があると思いますが、Ticket Restaurantは会社側の義務ではないので、誰もがもらえるわけではありません。

働き始めて1ヶ月、仕事を辞めたくなったら…

働き始めて1ヶ月経たないうちに、仕事を辞めたくなった場合、試用期間内(Période d’essai)であれば、最長でも48時間以内に雇用主へ申し出れば、契約を中断することができます。

試用期間の日数については、通常、労働契約書に記載されています。

まとめ

働き始めてから最初の1ヶ月に直面するであろう、ちょっとした疑問についてまとめてみました。

時間がある時に、同僚や上司、担当のRHに尋ねればいいことですが、最初は仕事を覚えることで精一杯で、気持ち的にも余裕がないかもしれません。

仕事を始める前の事前準備として、この記事の内容を頭の片隅にいれておいて、働き始めたら少しづつ疑問を解決していけば大丈夫ですよ。

フランスで仕事を始めるみなさん、頑張りましょう!


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