CPF(Compte personnel de formation )について知っていますか?
民間で働いている全ての労働者が持っている、研修や職業訓練を受ける時の支払いに使える口座のことです。
そんな口座、作った覚えはない。どこにあるの?
その口座は、いつどんな時に使えるの?
という疑問に、この記事では答えていきたいと思います。
CPF(Compte personnel de formation )ってなに?
CPFとはFormation(研修、職業訓練)を行うための個人口座のことです。
民間で働く全ての労働者は、職業訓練を受ける権利を有します。その権利を労働時間と労働日数に応じて、「お金」に還元して、口座に「積み立て」し、必要な時に引き出して職業訓練の支払いに充てることができる個人の口座のことをCPFと呼びます。
あえて口座を「作る」必要はありません。
貴方が働き始めた日から、口座は開設されているので、必要なのは登録することです。
口座はどこにあるのか?
口座の登録と閲覧は以下のサイトからできます。
口座への貯蓄は、フランスで働き始めた時からで、口座の登録時ではありません。
口座を管理しているのは会社ではなく、全く別の組織です。よって、転職したり、職場が変わったり、失業中であったりしても、口座はそのキャリアを通じて維持されます。
口座にはいくらたまるの?
法定労働時間の半分以上働いている全ての労働者に対して年間500€が付与され、貯蓄できる上限は5000€です。
前年度の労働分に対して、翌年度の1月から6月の間に口座に還元されます。
自分が受けたい研修や職業訓練があった場合、この口座から一部もしくは全額を講習費用に充てることができます。使用する際の上限はありません。
口座はいつ使えるの?
自分の望むときに口座を使って研修や職業を受けることができます。求職中、失業中、正社員、アルバイト等の勤務状況も問いません。
ただし、正社員・アルバイトの場合、勤務時間外での利用は本人の自由ですが、勤務中にCPFを利用してスキルアップを目指す等の場合(つまり、仕事を休んで研修に出かける場合)には雇用主側の承諾が必要です。
CPFの使い道について
CPFは主に仕事を変えるための職業訓練の費用、スキルアップを目指すための研修費用、または資格取得や職業証明書の取得を目指すための学校入学の費用に変換することができます。
また、自分の適性を探るための職業能力診断(Bilans de compétence)を受ける際に、CPFからその費用を補うこともできます。
仕事上必要である、通勤に不可欠であるという理由で、運転免許取得のために貯まったCPFを自動車学校の費用に充てることも可能です。
CPFの口座サイトに詳しい条件がのっているので、確認しましょう。
使わなかったCPFはどうなるの?
CPFはキャリアを通じてその口座に貯蓄され、仕事を辞めて年金を受け取るようになったら自動的に消滅します。
他人に譲渡することも、他の何かに還元することもできないので、注意してください。
CPFに関わる詐欺事件が急増しています。
CPFの口座は社会保険番号等と紐ついている重要な個人情報です。
CPFは唯一貴方の意思に基づいて、キャリアアップを目的に使うことのできる、生涯を通じて維持できる口座です。他人に「譲渡」したり「金銭に変換」することはできないので、注意してください。
まとめ
CPFの基本について解説しました。
CPFは自分の好きな時に利用してかまわないのですが、実際に使う際には、求職中の人はFrance travail (旧Pôle emploi)の担当者に、社員のひとは上司もしくはキャリア担当の人に良く相談してみましょう。
というのも、職業訓練や研修の費用は高額で、CPFで全てを賄うことができるのは短時間の研修に限られます。数か月にわたるような職業訓練を受講したいが、CPFでは足りない、またはすでにCPFを利用して貯金が十分ではないような場合、France travailや会社がその不足分を援助してくれることがあります。
職業キャリアの変更、向上及びスキルアップを目指すのは全ての労働者の権利です。
その権利を目の見える形で、利用しやすく提示してくれているのがCPFです。
もし、今までCPFの存在について知らなかった人は、これを機会に自分の口座にアクセスして口座にいくら貯まっているか確認してみましょう。