12月になるとクリスマスの装飾を準備したり、家族のクリスマスプレゼントを購入したり…スーパーも商店も強気の値付けになって、なにかと出費が重なりますよね。
そんな時、つくづくと実感するのが13ème moisのありがたみです。(私の新しい職場は13ème moisがないので特にそう感じます…)
今回の記事では、みんなが大好き、13ème moisについて色々とみていきたいと思います。
13ème moisをもらえる、もらえない?
ご存じ、13ème moisもしくはPrime de fin d’annéeと呼ばれる年末ボーナスは全ての民間で働く会社員がもらえるわけではありません。
13ème moisのある、なし、を決めるのは以下の要素です。
- Convention collective(団体協約)
- Accord collectif d’entreprise(企業内協定)
- Usage(慣例)
- Contrat de travail(労働契約)
団体協約、慣例について詳しく知りたい人は以下の記事を読んでください。
13ème moisの支給が団体協約で決められているセクターは例えば銀行、不動産関係、スーパーなどの小売り業、配送業、精肉業、ビルの管理窓口と警備業、等々があります。
一方で、13ème moisの支給が団体協約で決められていなくても、会社独自で13ème moisの支給を決定しているところもたくさんあります。その場合、Accord collectif d’entreprise(企業内協定)にて支給対象となる条件、計算方法などが決められています。
企業内協定だと外からみてその内容が分かりにくいですが、13ème moisは会社にとっても大きな強みなので、求人の際には必ずアピールされるはずです。
また、交渉の結果、個人的に13ème moisを契約書に明記してもらうこともできます。
少し分りずらいのが、慣例の場合ですね。
Conventionに記載がなく、企業内協定にも明記されていない、でも3年以上連続して全社員に一定の金額が配られている場合、それは13ème moisに類するものとして慣例となり、雇用主側の独断で中断することはできません。
13ème moisはいつもらえるのか?
年末ボーナス、と書きましたが年末に給付されるとは限りません。
13ème moisの給付は会社によって以下のように変化します。
- 年末、主に12月もしくは1月に1回のみの支払い
- 年に2回、主に7月と12月
- 3ヶ月ごとの支払い
- 月ごとの支払い
つまり、全部アリ、ということです。
13ème moisの条件/勤務年数の有無
13ème moisの支給条件を決めるのはConvention collectiveとAccord collectif d’entrepriseです。
協定内では、誰が、どういった条件を満たしたときに、いくらもらえるのかが決められています。
管理職だけ、もしくは管理職を除いた従業員を対象とする、または1年以上在籍している従業員にのみボーナスを給付するという条件を設けることは違法ではありません。
例えば1月1日から12月31日に会社に在籍した社員に限る、という支給条件があったとします。その場合、1月7日に入社した人はその年のボーナスは支給されません。同様に、12月28日に退職した人もボーナスはもらえません。
一方で在籍期間を条件にしていないところもあります。
その場合、年度内に入社し、退社しても、ボーナスは在籍期間に応じて計算され支払われます。
CDDからCDI契約に移行した際には、その2つの契約の間に途切れがないか注意しましょう。
以前私が働いていた会社は、13ème moisの条件がその年の1月1日から12月31日まで、1年間会社に在籍していることでした。
たまに見かけたのが、例えば12月1日にCDDで入社し、12月24日に契約終了。その後1月7日あたりにCDIとして戻ってくる例です。
2つの契約に中断を挟むと、13ème moisの支給条件となる在籍期間は1月7日を起点とすることになり、ボーナスが支給されません。
ほぼ1年働いていたのに、ボーナスが支給されない…ということにならないように、ボーナスに在籍年数の規定があるところは注意しましょう。
13ème moisの条件/契約の形態
上述のように、13ème moisの給付を管理職だけ、もしくは管理職を除くとすることは違法ではありません。
ただし、契約の形態で13ème moisのある、なしを条件づけることはできません。
条件を満たしたすべてのCDI,CDDはもちろんのこと、Apprentissage(見習い)も対象となります。
また、フルタイム、パートタイム等の労働時間による条件付けも認められません。
13ème moisの対象となる基本給
基本的には13ème mois=基本給1ヶ月分です。
ただし、そこはフランス。何が基本給なのか、どの月の給料が対象となるのか、その月の時間外労働の報酬も基本給に入るのか…とにかく細かい!
Conventionによって、11月の基本給を13ème moisの参考支給額とするところ、または12月の基本給、もしくは1月から12月の12ヶ月の合計を12等分するなど、様々です。
また、時間外労働の報酬、成果報酬(Prime de résultat)等々全てを含めたSalaire brutをボーナスの「基本給」とするところもあります。
通常はConvention collectiveとAccord collectif d’entrepriseで規定されていますが、規定のない場合は、Salaire brutを構成する全ての要素をボーナスの参考支給額とします。
会社を休んだ場合はどうなる?
13ème moisが振り込まれた後に多く寄せられるのが以下の質問です。
ボーナスが同僚の三毛猫ちゃんより少ないのはどうしてですか?私たち、同じ基本給なのに!
実は、13ème moisの参考支給額を確定した後、そこから引く作業があります。
何を引くかというと、休みです。
会社を1年間休まず、毎日出勤している人はいません。
まず、有給休暇があります。必ず休みます。
病気、労災で会社を休むこともあります。
子供の出産で産休に入る人も、育児休暇を取る人もいます。
結婚式、葬式、子供の病気で特別休暇を取得することもあります。
遅刻や早退、ストライキに参加するため数時間欠勤することもよくあることです。
また、会社を立ち上げるため、子供の教育のため、自身の勉強のために1年以上の長期休暇を取る人もいます。
こうした、全ての「欠勤」を集めて、これはみなし労働時間にする、これはダメ、これは一部ならみなし労働時間、という風に分別していき、参考支給額から休んだ分を引いていくのです。
必ずみなし労働時間になるのが、有給休暇です。有給休暇の取得は欠勤とはみなされません。
その他、何をみなし労働時間にするか、しないかはConventionの規定によります。
結婚式、葬式等の特別休暇、産休、育児休暇はみなし労働とみなされる場合が多いです。
問題となるのが病気、労災等を理由にした欠勤です。
一般的には、病気、労災の際は雇用主補償(maintien de salaire)が行われている際はその補償割合と期限を限りにみなし労働として扱うところが多いです。
例えば、ある社員が5ヶ月間(153日)、病気で会社を休みました。
Conventionの規定に従い、社員は最初の30日間は100%、その後90日間に90%の雇用主補償が受けられるとします。
彼の13ème moisの支給額は2200€です。
Conventionに従い、雇用主補償の割合と期限を限りにみなし労働として扱うとすると、以下のようになります。
30日間(100%補償) = 100%の労働時間
90日間(90%補償) = 90%の労働時間、10%の欠勤
33日間(補償なし) = 100%の欠勤
以上をふまえて、以下のように欠勤の日数を計算します。
(90日 x 10%) + 33日 = 42 日
よって、彼の13ème moisの支給額は以下のとおりです。
2200€ / 365日 x ( 365日 – 42日 ) = 1946,85€
まとめ
13ème moisについてはその金額から支給方法、支給の条件、計算方法までConvention collective及びAccord collectif d’entrepriseに依るところが大きく、あまり一般化して話せることがないです。
意外?かもしれませんが、私が前にいた会社では13ème moisの計算はエクセルを使って手作業で行っていました。
会計ソフトに任せるとみなし労働時間の計算にエラーが生じるのがその理由ですが、これに限らずGPの仕事にはポチポチとエクセルで作業する業務が多いです。
もちろん、何度も計算と確認作業を行い、12月の大半をボーナスの計算に充てますがミスとは無縁ではありません。
そして、支給後にRHから連絡が来るとひぃっ計算間違えたかとドキドキするという…(13ème moisは社員の全員が楽しみにしている一大イベント?なので問い合わせも多い上にみんな怒り気味という…)
もしボーナスの支給額に疑問があれば、RHに問い合わせてみましょう。