なぜ1ヶ月のフルタイム労働は151.67時間で計算されるのか?月平均の労働時間の仕組みについて知ろう。

基礎知識
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給料明細を見て、ふとこんな疑問がよぎったことはありませんか?

働く猫
働く猫

どうして151.67Hって書いてあるんだろう…

HとはHeuresの略です。フランスのフルタイム労働は週35時間、1ヶ月151.67時間に換算されるということです。

1ヶ月を4週として140時間じゃないの?なんで151.67時間?と思ったことがある人は、ぜひこの記事を読んでみてください。

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月平均の労働時間の仕組み

フランスの法定労働時間は1日7時間、週35時間、月に換算すると151.67時間です。これは、1年の労働時間を月単位で平均化したものです。

1年は52週あるので、フルタイム労働の月平均労働時間は以下のように計算します。

52週 ÷ 12ヶ月 ⅹ 35時間 = 151,67時間

パートタイムの場合も同様です。週30時間の労働時間の場合、月平均では、52÷12x30=130時間です。

要するに、1ヶ月を4週ではなく、4.33333週で計算しているのです

月平均労働時間制の利点

月平均の労働時間とは、つまり1ヶ月の日数が28日、30日、31日とそれぞれ違っていても、フルタイムの場合は151,67時間の労働時間として計算されるということです。

基本給が2000€の人は、2月でも、8月でも、毎月2000€の基本給をもらっているはずです。2月は労働日が20日しかないから1846.11€ で8月は23日あるから2123.03€、と変動することはありません。

月平均労働時間制度によって、サラリーマンは毎月同じ基本給を手にすることができます。

月平均労働時間制の適用が除外されている仕事もあります。例えば、100%の自宅勤務者、派遣労働者、季節労働者、舞台、メディア関係者です。

35時間を超える労働時間の場合

フランスの法定労働時間は週35時間、月151,67時間です。一方で、週39時間勤務等、35時間を超えた労働契約を結ぶこともできます。その場合、超過分の労働時間は以下のように処理されます。

①時間外労働として割増しの賃金が上乗せされる

法定労働時間の35時間の給料+超過時間に25%の割増手当が基本給となります。

例えば、39時間勤務の場合、給料明細は以下のような形になります。

Libellé des rubriquesBaseTaux Montants
Salaire de base151,67 11,57 1754,82
Heures supplémentaires 17,3314,46 250,64

法定労働時間の151,67H + 超過分の17,33Hで合計169時間、基本給は2005,46€です。

②RTT(労働時間短縮)として取得できる。

RTTを含んだ契約の場合、従業員は週に39時間働きますが、支払われる給料は35時間労働分のみです。残りの4時間はRTT(労働時間短縮)として後日、有給同様に休みを取ることで代替えされます。

39時間の場合、年に23日から24日のRTT取得となるので、5週間の有給と合わせると、9週間ほどの年次休暇となります。

RTTと有給休暇は消化期間が異なるので注意が必要です。
RTTは、会社内での協定もしくはConvention collectiveで規定のない限り、取得した年の12月31日前までに消化する必要があります。消化しきれなかった分は消滅します。
有給は、基本的には前年の6月1日から当年の5月31日までに取得した分を、当年の6月1日から翌年の5月31日前までに消化します。

Annualisation du temps de travail(変形労働時間制)とは?

Annualisation du temps de travailとは、1年の変形労働時間制のことです。

労働時間を月ではなく年単位で換算します。計算方法は以下の通りです。

1年の365日から土曜と日曜の104日、有給休暇の25日、平均8日の祝日を差し引くと1年の平均の労働日数は228日。フルタイムの場合、1日の労働時間は7時間なので、228 x 7 = 1596時間、端数を繰り上げて1600時間です。そこに、Journée de solidalitéの7時間を足すと、1607時間となります。

Journée de solidarité(連帯の日)とは、高齢者と障害者への支援を目的に全ての労働者が1日余分に働く日のことです。会社側はその労働で得た賃金相当を公庫に納めます。就業日の設定は以下の通りです。
・ 5月1日を除く祝日に働く
・ RTTもしくは休日の1日を差し引く
・ 7時間(フルタイムの場合)余分に働く
スーパーなど祝日も仕事をする必要がある職場では、祝日の割増賃金相当分がJournée de solidaritéに充てられることもあります。
Journée de solidaritéを実施した際には、その旨が給料明細に記載されます。年の途中で職場を替えた際にはこれが証明書となるので、しっかりと保存して2回も無償で働くことのないようにしましょう。(無償労働は1年に1回で十分です…。)
なお、パートタイムで働いている場合は、その時間数に応じた時間数の無償労働を求められます。CDIでもCDDでも同様です。

Annualisation du temps de travailの仕組み

Annualisation du temps de travailを実施している会社では、繁忙期と閑散期に合わせて労働時間が変化します。

例えばホテルやテーマパークなどの観光業は学期休みに合わせて稼働率が大幅に変わります。そこで、会社側は1月から3月は客足が衰えるので週に28時間、5月から8月は逆に繁忙期にはいるので週に40時間、というプランニングを設定することができます。

Annualisation du temps de travailの場合、35時間を超えた労働でも超過勤務手当はでません。超過勤務手当は、会社内での協定もしくはConvention collectiveの規定のない限り、トータル1607時間を超えた時点で支払われます。

Annualisation du temps de travailの場合の基本給

基本給の支払い方法は2つです。

  1. 12ヶ月平均の基本給
  2. 実際の労働時間に応じた基本給

1の場合、閑散期に週20時間、繁忙期に週40時間働いたとしても、月平均の151,67時間として基本給が支払われます(フルタイムの場合)。

Annualisationの目的から見ると、2の実際の労働時間に応じた基本給の支払いを選択する会社は少ないと思います。ただし、途中入社、退社の場合は実際の労働時間に応じた調整が入ります

いずれにしても、Annualisation du temps de travailの場合、労働契約書に基本給の支払いに関しての詳細が書かれています。契約書にサインする前によく確認しましょう。

まとめ

週の労働時間 × 月の平均値4,333333=1ヶ月の平均労働時間、という計算方法は残業代や割り増し手当の計算に使います。

少し厄介なのが、途中入社、途中退社の場合、また短期雇用契約の場合です。基本的には、月の途中での入社の場合、月給 ÷1ヶ月の平均労働時間x実際に労働した時間、という計算になります。

例えば週35時間、基本給2000€で8月21日入社の場合、2000 ÷ 151,67 x 63(7時間×9日) = 830€です。しかし、実際に会社で行われている計算はこれとは違う場合が多々あります。少し難しい話になるので、後日、また説明したいと思います。

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