CDD契約の終了、自己都合による退職、解雇等々の理由で会社を離れる時、必ず会社側から受け取る3枚の紙があります。
それが、Certificat de travail, Attestation de Pôle emploi, Solde de tout compteです。
この3枚の紙、一体何のためにあるのか、いつ使うのか、何故必要なのか、について理解するのがこの記事の目的です。
Certificat de travail(労働証明書)
Certificat de travailとは貴方がその会社にいたことを証明するものです。
書面には、入社日と退職日、会社内での貴方のポスト等々が記載されています。
労働証明書は、新しい転職先であなたのExpérience(経歴)を証明するものになります。
たとえば、Convention collectiveによっては、その仕事を何年続けてきたによってクラス分けが行われ、それによって基本給が決まる場合があります。その際、Certificat de travailはあなたの経歴を公に証明する唯一の書類になります。
また、貴方のCV(履歴書)に虚偽が含まれていないかを確認するために、今に至るまでの全てのCertificat de travailを会社側に証明書として提出するように求められることもあります。
一方で基本給が交渉によって自由に決まる会社の場合、Certificat de travailの提出を求められることは特にないかもしれません。
いずれにしても、フランスにおける自身の職歴証明書なので、大切に保管しておきましょう。
Attestation de Pôle emploi(職業安定所への証明書)
Pôle emploiは2024年1月からFrance travailに改名しました。
Pôle emploiとはご存じのように、日本でいう職業安定所のことです。
Attestation de Pôle emploiは、貴方が失業保険の受給要件を満たしているかの確認するため、また失業手当の給付額を決定するために必要な書類です。
証明書には、入社日から退社日までの労働時間、受け取った給料、退職理由等々が細かく記入されています。
書類は雇用主側が従業員の退職時に作成して、雇用主側からPôle emploiに送付します。貴方が受け取るのはそのコピーです。
Pôle emploiの証明書は全ての日付を必ず確認!
Pôle emploiの証明書は必ずその内容を確認しましょう。
特に入社日と過去12ヶ月の給料記入欄及び過去36ヶ月の給料記入欄の日付に抜けがないかをチェックしましょう。
というのも、通常、Pôle emploiへの証明書は計算ソフトが自動的に出力します。しかし、会社の給料計算ソフトの変更や更新を行う際に、一部の契約期間の情報がうまく移行できず、間違った日付の証明書が作成されてしまうことがよくあるからです。
特に長期間同じ会社で働いている場合や、同じグループ会社を転々としていた場合(つまり同じ会社内の違うSIRETで働いていた)は要注意です。
間違いを見つけたらすぐにRHもしくは担当者に連絡して証明書を作り直してもらいましょう。
Solde de tout compte(最終清算確認書)
Solde de tout compteは貴方が最後に受け取る給料明細を書面に書き起こしたものです。
この書面をもってして、お互いの間に清算すべきものは何もないことを確認します。
会社側は貴方の名前で2部作成します。「私、○○(貴方の名前)は以下の金額を株式会社○○から受け取ったことを認めます。」といった文章のあとに、最後に受け取った給料明細と全く同じ金額の記載があります。
最後に「この振込をもって、株式会社○○と私との全ての清算が最終的に完了したことを確認します」と続き、日付とサインをして1部を自分で保管し、1部を会社に渡します。
Solde de tout compteの金額に納得していない場合
気を付けたいのは、貴方と会社側で給料に関するもめ事がありそれが未解決の場合、もしくは貴方が最終的に支払われた金額の内容に納得していない場合です。
そうした状況下では、Solde de tout compteにサインをして送り返してはいけません。
もし、貴方がサインした後に、間違いに気づいた場合、サインの日付から6ヶ月を限度に異議申し立てを行うことができます。
サインをしなかった場合、労働契約が終了した日から3年を限度に雇用主側に対して異議申し立てを行うことができます。
Solde de tout compteへのサインは義務ではありません。
もし、その場でサインするように求められても、疑念がある場合は持ち帰って、確認してから後日送り返します、と答えましょう。
まとめ
Certificat de travail, Attestation de Pôle emploiそしてSolde de tout compteの3枚の紙は、退職時にほぼ必ずもらいますが、使い道が分からない…と思っていた人もいるかもしれません。
私自身、フランスで働き始めた当初は、この書類をどう保存すればいいのか、重要なのか、ただの形式的なものなのか判断しかねていました。
簡単にまとめると、Certificat de travailとAttestation de Pôle emploiは必ず貰っておきましょう。ただ、Solde de tout compteはなければないで、別にかまわないと言えます。
実際、私の前の会社ではSolde de tout compteは渡していませんでした。(退職者から希望があれば出していましたが)
通常、退職日と給料支払日に開きがある場合、書類は退職後に後日郵送もしくはメールで送られてくると思います。
最後の給料明細に払い忘れ、計算間違い等々を発見したら、できるだけ早くRHもしくは雇用主に連絡するようにしましょう。
1回目はメールで、2回目以降の催促は配達証明付きの手紙で証拠を残すことを忘れずに。