フランスのCongésと名の付く休暇まとめ②~病気、介護に関わる休暇

仕事を休む
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フランスのCongésについてまとめた記事の②です。

①では出産、育児の際に取得できる休暇についてでした。

②では病気、介護の際に利用できるCongésに焦点をあて、みていきましょう。

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人生いろいろ、休みもいろいろ

前回のおさらいです。

Congé sans solde(無給休暇)を除いて、雇用主側が以下の休暇の申し出を拒否することはできません。休暇によっては休みの間の給料が全額保証されるものから、一部手当金がでる場合、全く無給の状態になるものなど様々です。

モチーフ休暇の日数給料の補償の有無
Congé pour enfant malade(子供の病気休暇)3日
子供が1歳以下もしくは子供が3人以上の場合は5日
X
(会社の福利厚生によっては○、勤務地がAlsace Moselle地域の場合は○)
Congé de présence parental(子供の看護休暇)310日(土日を除く)
1回まで更新可(計620日)

(Cafから一部補助あり)
Congé pour l’annonce du handicap ou d’une pathologie d’un enfant (子供の障害、慢性疾患告知時への休暇)5日(日曜と祝日を除く)
Congé de proche aidant(介護休暇)3ヶ月
1年を超えない限りで更新可

(Cafから一部補助あり)
Congé de solidarité familiale(終末期介護休暇)3ヶ月
1回まで更新可(計6ヶ月)

(21日間)

休暇は連続して申請しなくても構いません。1日だけ、1週間だけも可能です。

子供の病気、看護に関わる休暇

子供の風邪や食あたりで数日会社を休む時に利用できる休暇から、障害、慢性疾患等で付きっきりの介護が必要な際に申請できる休暇まで、子供の病気の程度によってCongésを取得できる期間は異なります。

Congé pour enfant malade / 子供の病気休暇

16歳以下の子供の風邪や体調不良で親が会社を休む必要がある場合、Congé pour enfant malade(子供の病気休暇)を申請できます。勤務年数等の条件はなく、誰でも取得できます。

取得できる日数は1年に3日です。
子供が1歳以下の場合もしくは子供が3人以上いる場合は5日間取得できます。

給料の補償はありません。労働法ではこの3日間は無給休暇となります。
ただし、福利厚生の一環として、多くの会社ではAccord d’entreprise(企業内協定)を経て有給として扱っています。

子供が病気になる前に、人事や同僚にCongé pour enfant maladeについて尋ねてみましょう。

Alsace Moselle地域はドイツとの歴史的背景をもとに、フランス国内にあっても地域独自の健康保険制度を維持しています。Alsace Moselle地域で働く(居住ではなく)人は、子供が病気になって親の付き添いが必要な場合、誰でも、勤務年数に関わりなく休んだ日数の100%給料が補償されます。つまり給料は減りません。
日数の上限についてはune durée relativement sans importanceとだけあります。勤務年数を含めて「常識」が許す範囲、ということになります。労働裁判所の判例からみると、勤務年数1年の人が10日のCongé pour enfant maladeを取得することは「常識的」だと判断されています。

Congé de présence parental / 子供の看護休暇

上述のCongé pour enfant malade(子供の病気休暇)とは違い、Congé de présence parental(子供の看護休暇)子供が長期療養が必要な病気や重大なケガでの入院、障害を負った場合に申請できる休暇のことです。

対象となる「子供」は20歳以下で給料所得がある場合は1104,25€を下回る、自分の名義で住宅補助や家族手当等を受け取っていない人物を指します。(つまり独立していない、親の扶養家族になっている子供です)

休暇を取得できる日数は310日(土日を除く)で、3年の間に非連続的に取得でき、1回まで更新できます。(合計で620日)

会社側には、休暇を取得する15日前までに通知をしましょう。

会社側からの給料の補償はありません。
休職中は、Caf(家族住宅手当機構)が手当金を出します

子供の数、半日か全日の休暇取得かによって支給される手当額は違います。例えばカップルで子供1人を養育している場合に支払われる手当金は1日あた65,80€、半日だと32,90€です。

以下のサイトでCafの手当金の計算をすることができます。
https://www.service-public.fr/particuliers/vosdroits/F15132

Congé pour l’annonce du handicap ou d’une pathologie d’un enfant (子供の障害、慢性疾患告知時への休暇)

自分の子供に障害や慢性疾患が告知された、またガンの告知などが行われた際に心を整理するとともに必要な手続きを始めるために用意されている休暇がCongé pour l’annonce du handicap ou d’une pathologie d’un enfantです。

医療機関から子供の障害や慢性疾患について宣告を受けた後、県の障害福祉課に連絡をします。障害福祉課が障害のレベルとそれに応じた支援内容をまとめ、障害福祉サービス施設へと送付します。

雇用主への休暇申請は、告知を受けた当日でなくても、近日中であれば問題ありません。障害福祉課で証明書を受け取れるので、それを雇用主に後日送付します。

取得できる日数は日曜と祝日を除いた5日です。

この5日はみなし労働とみなされ、仕事を休んでも給料は減りません。雇用主が5日の給料を支払います。

家族の介護に関わる休暇

子供ではなく、成人した家族のなかで介護が必要な人がいる場合や近親者の臨終に立ち会うために取得できるCongésについて紹介します。家族、近親者の定義が2つの休暇で違うので、実際に取得する際には関連機関で情報収集を行ってください。

Congé de proche aidant / 介護休暇

障害を抱えた人、お年寄り、体の一部が不自由な人…日常生活に不自由を抱える家族、自力で生活をすることが難しい家族を支えるために申請できる休暇がCongé de proche aidant(介護休暇)です。

対象となる「家族」の定義は、

  • 申請者と生計を共にしている者
  • 申請者の4親等内の親族
  • 申請者と生計を共にしている者の4親等内の親族
  • 申請者と懇意な間柄であり、申請者本人が日常的および定期的に生活を補助している者

なお、「家族」はフランス国内に居住している人が対象です

会社のConvention collcetive等に規定がない場合、休暇を申請できる日数は3ヶ月で、そのキャリアを通じて1年を超えない範囲で再更新ができます。

会社側からの給料の補償はありません。
休職中は、Caf(家族住宅手当機構)が手当金を出します
Allocation journalière du proche aidant (AJPA)と呼ばれる手当金は1日に65,80€、半日で32,90€です。

この手当金が支給されるのは、会社員のキャリアを通じて66日までです。また、1ヶ月を超えて休暇を申請する場合、支給される日数の上限は1ヶ月あたり22日です。

Congé de solidarité familiale / 終末期介護休暇

Congé de solidarité familialeに終末期介護休暇という日本語をつけましたが、正確には家族の連帯のための休暇、という意味です。病状の悪化により、お別れが近づいている近親者のそばにいるために取得できるCongéです。

近親者とは、申請者と直接の血縁関係にある祖父母父親、母親、子供、孫、ひ孫、兄弟姉妹および申請者と生活を共にしている者を指します。さらに自身が後見人に指定されている場合もこれに含めます。

休暇を申請する際には、当人のかかりつけ医の診断書を添えて休暇取得の15日以前に雇用主に申し出る必要がありますが、事態が逼迫している場合はその限りではありません。

休暇の期間については、雇用主側と協議のうえで決めます。
会社のConvention collcetive等に規定がない場合、休暇を申請できる日数は3ヶ月で、1回まで更新できます(合計6ヶ月)

会社側からの給料の補償はありません。
休職中はセキュ(社会保険機構)の関連組織であるCNAJAPというところが手当金を出します
Allocation journalière d’accompagnement d’une personne en fin de vie (Ajap)と呼ばれる手当金の金額は1日当たり63,34€支給期間は21日までです。

申請者が時短勤務を希望している場合、手当金の金額は1日当たり31,67€支給期間は42日です。

手当金支給のためには、雇用主側からの休暇取得の証明書が必要なので、申請を忘れずに。

家族が外国にいる場合、例えば日本にいる家族の臨終に立ち会うためにCongé de solidarité familialeを申請して手当金を受給することは可能かどうか?という疑問ですが、実のところ回答が見つかりませんでした。テキスト上では、Congé de proche aidant (介護休暇)の場合のように「フランス国内」に限ってはいないのですが…もしもの際にはCNAJAPに問い合わせて確認しましょう。

まとめ

看護、介護の際に取得できるCongésについてみてきました。

冒頭で述べたように、条件を満たしている場合、雇用主側は休暇申請に際してNonと拒否することはできません。

Convention collectiveがより有利な場合を除いて、看護、介護の際には会社側から給料は支給されません。給料の一部を補填するために、Cafやセキュから手当金を受け取ることができます。

ただし、休暇の日数=手当金を受け取れる日数ではないということに注意しましょう。当然のことながら、手当受給期間を超えて休む場合は無給の状態となります。

また出産、育児の場合と違い受給手続きは雇用主ではなく受給者本人が行います。
必要書類、受給条件などをよく確認してから休暇の申請を行いましょう。

次回の③では、結婚、起業、引っ越しなどの人生イベントに関わる際に取得できるCongésについて見ていきます!

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