フランスの共済保険、ミュチュエル(Mutuelle)について知ろう

基礎知識
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ミュチュエル(Mutuelle)とはフランスの共済保険のことです。

フランスにはAssurance maladieと呼ばれる公的医療保険が存在し、日本と同様に病気やケガで医療機関を受診する際の医療費を負担します。

ミュチュエルはこのAssurance maladieを補完する共済保険のことで、Assurance maladieの負担割合を超えた自己負担分の一部を補ってくれます。

2016年より、全ての民間の会社は、一部の例外を除いて、従業員に会社のミチュエルを提供することが義務付けられています。

この記事では、ミュチュエルの加入方法と加入しない方法(Dispense)、そして退職時のミュチュエルの取り扱いについて解説します。

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フランスの共済保険、Mutuelleについて

医療機関を受診した際、フランスの公的医療保険は医療費用の70%を負担します。残りの30%を負担してくれるのが、個々人が加入する共済保険、ミュチュエルです。

ミュチュエルは、その契約内容によって保障範囲から償還率まで様々です。通常は、月々の保険料が高ければ、それだけ高い償還率になります。

また、ミュチュエルの内容によっては公的医療保険の払い戻しがないオステオパット(整体)や一部の歯科治療の費用をカバーしてくれます。

会社のMutuelleに加入する利点

2016年以降、事業体の大小にかかわらず、民間の全ての会社はミュチュエルの団体加入を設置することが義務となりました。また、従業員側も一部の例外を除いて、ミュチュエルに加入することが必要です。

ミュチュエルは個々人でも加入できるのですが、会社のそれに加入する利点はその保険料です。

雇い主側は少なくとも50%の保険料を負担することが決められています。会社によっては75%、100%負担してくれるところもあります。

よって、従業員側の保険料の負担は、個々人で加入する時よりもぐっと少なくなります

誰が加入できるのか?

CDDか、CDIか等の契約形態や契約期間に関係なく、全ての従業員が対象です。

会社によっては家族オプションを提供しているところもあります。その場合、従業員本人及びその配偶者、PACSの相手、そして子供も加入できます。

どうやって会社のMutuelleに加入できる?

会社にはすでに契約を結んでいる民間保険会社があります。
勤務初日に会社側からミュチュエル加入の契約書が渡されるので、それに記入して必要書類を添付してRHもしくは会社の担当者に返送すれば完了です。後日、ミュチュエルからカードが送られてきます。

会社のミュチュエルに加入した場合、基本保険料は毎月の給料明細から差し引かれます

一方で、もし貴方がミュチュエルにオプションもしくは家族を加えた場合、追加分の保険料は銀行口座から引き落とされます。

会社のMutuelleに加入しない

ミュチュエルにはその加入が免除(Dispense)される場合も存在します。

会社のMutuelleに加入しなくてもいい3つの状況

以下の契約内容で働く人は、ミュチュエルの加入が義務ではありません。

  • 契約期間が3ヶ月以下のCDD契約
  • 契約期間が3ヶ月以下の派遣契約(Intérimaire)
  • 週の勤務が15時間以下のパートタイム労働者

ミュチュエルへの加入を希望しない場合は、会社側が用意する専門の用紙にサインをして渡します。

すでに配偶者等のMutuelleに加入している場合は?

すでに配偶者のミュチュエルに加入している、個人で契約したものに継続して加入したい場合、会社側にDispenceを願い出ることになります。

貴方が他の保険に加入していることを証明するAttestationの提出を求められるので、準備しておきましょう。

何も手続きをしない=会社のミュチュエルに加入しないと思っている人がいますが、それは間違いです。会社の保険に加入しない場合は、加入免除の手続きが必須です。
加入免除は口頭ではなく書面で行います。
2016年以降、会社側は従業員が何らかの共済保険に加入していることを(必要があれば)証明する必要があります。よって、従業員側から加入しないという申し出がない場合、自動的に会社のミュチュエルに加入させられ、月々の給料明細から保険料が引き落とされます。
会社側は入社時に共済保険に関する一連の書類を渡します。
その中に、加入免除に際しての手続き書類が必ず添付してあるので、加入を希望しない場合は手続きを忘れないようにしましょう。

会社のMutuelleが一時停止する状況

会社のミュチュエルに加入していても、以下の状況の場合は、その契約が停止します。つまり、会社のMutuelleに継続して加入することができません。

  • 会社設立のための休暇 Congé pour création d’entreprise ou reprise d’entreprise
  • 無給休暇 Congé sans solde
  • サバティカル休暇 Congé sabbatique
  • 育児休業 Congé parental d’éducation
  • 家族支援休暇 Congé de soutien familial

上記の休暇はすべて無給休暇となります。つまり、会社との雇用契約が一時的に中断され、給料が発生しません。

こうした場合、会社側はミュチュエルの会社負担分を拒否することができます。従業員側は新しい保険と個人で契約を結ぶか、今までの保険会社に会社負担分を支払って個人的に加入することになります。

病気、労災、育児休暇、産休等で一時的に会社を休む場合は雇用契約の中断とはみなされません。ミュチュエルの継続加入に影響しません。また、有給休暇も同様です。

退職時のMutuelleの取り扱い

退職の際には、会社側が手続きをしてミュチュエルの契約は自動的に解除されます。会社の退職日=ミュチュエルの最終日となるので、それ以降の医療費については自己負担となります。

保険への加入を希望する場合は、新たに個人のミュチュエルに加入するか、新しい会社がすでに決まっていればそこのミチュエルに加入することになります。

ただし、失業保険の給付を受けられる状態で会社を辞めた場合、自己負担なく、自動的に、会社を辞めた翌日から継続して会社のミュチュエルに加入し続けることができます(Portabilité de la mutuelle)。

失業手当の給付を受けられかどうかについては、以下の記事内に一覧表があります。

会社の退職後のミュチュエルの継続加入については次回の記事で詳しく紹介したいと思います。

まとめ

会社のはミュチュエル少なくとも50%以上の保険料を会社が負担してくれるので、特に理由がなければ自分の勤務先のものに加入するか、配偶者のミュチュエルに加入したほうがお得でしょう。

一方で、会社が提携している保険会社の補償の内容が良くないために個人的に民間と契約している人も多いです(私の夫がそうです)。

いずれにしても、大事なのはミュチュエルに加入しない場合でも、会社への手続きは必要ということです。

すでに個別の加入しているのに、会社からも引き落とされていた、ということのないように注意しましょう。

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