フランスで初めての仕事~資格を取ってジョブチェンジ

転職・研修
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求職中は「仕事が見つかって給料がもらえればどんな所でもいい…!」と思っていた人も、実際に就職して、経験を重ねていくうちに、

自分が本当にやりたい仕事はこれなんだろうか?違うポストに転職したい」
「もっとスキルを磨いてステップアップしたい!」
「新しいことに挑戦したい」

と新しい仕事へ、新しい資格へとやる気が向かうこともあるでしょう。

私たち、外国人がフランスでスキルアップ、スキルチェンジをする際に、どのような道を選択できるのか
この記事でその可能性について探ってみましょう。

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今現在、仕事をしている人

CDI、CDDに関わらず、今現在会社に所属して仕事をしている人は、会社にいながらキャリアチェンジを図ることができます。

キャリアチェンジをしたい場合

歯科助手からプログラマーへ、会計業務からバスの運転手へと新しい仕事にチャレンジしたいときにまず検討すべきは、 PTP(Projet de transition professionnelle)の制度の利用です。

条件をクリアすれば、給料をもらいつつ、会社を休んで職業研修学校に通うことができます。

制度の詳しい内容については、以前に記事を書いたので参照してください。

キャリアアップをしたい場合

キャリアアップ、仕事のスキルを磨くことを目的に研修を受けたい場合は、以下の方法があります。

①Plan de développement des compétences(技術知識向上への取り組み)へ応募

雇用主側は、従業員がその業務を遂行する上で必要な知識を学習する機会を提供する責任があります。Plan de développement des compétencesは会社側の人材研修に関する年次計画のようなものです。

会社側からの要請で、研修をうけることもあれば、会社側から社員に向けて、応募者を呼びかけることもあります。貴方が必要だと思うスキルが会社の期待するものと一致すれば、会社側の費用負担で研修を受けることができます

年末、年始に1年の仕事の実績やこれからの課題について話し合う機会があると思います。また、2年ごとに行われる l’entretien professionnel(職業面談)は会社側は必ず実施しなくてはならない面談です。

こうした機会を利用して、自分のキャリアアップのために必要な研修等について、上司と話し合ってみるといいと思います。

②CPFを活用する

CPF(Compte personnel de formation )とはFormation(研修、職業訓練)を行うための個人口座のことです。

民間で働く全ての労働者は職業訓練を受ける権利があります。CPFはその権利をお金に還元して、職業訓練を受けたい時に、その支払いとして充てることができます。

CPFは会社に依存しない、独立したお金なので、業務とは全く関係ない研修を受けることもできます。

CPFについて詳しく解説した記事があるので、ぜひ読んでください。

失業中もしくはフランスで仕事を探している人

失業中、もしくは求職中の人がまず最初にするべきことは、フランスの職業安定所、France Travailに登録をすることです。

France Travailに登録すると、担当者から連絡があり、後日面談の日が設けられます。

面談に際して、自分がどういう仕事を今までしてきたのかこれからどうしたいのかをハッキリと説明できるようにしておきましょう。

France Travailの担当者との面談はとても重要です。貴方が「なんでもいいから仕事がしたい」と言えば、本当に何でもいいような仕事が送られてきます。
FranceTtravailの担当者は審査するために面談をしているわけではなく、貴方のキャリアの助けになるためにいます。
もし、資格取得を目指しているなら、その旨を伝えましょう。もし、フランスでのキャリアに迷いがあるなら、迷っている、分からない、と正直に伝えてOKです。
担当者は面談の後、1日から数週間のキャリア研修や面接、履歴書の書き方の講習等々、就職活動の下準備のFormationや、資格取得にむけて金銭援助の話し合い等の予約を取ってくれます。

資格取得を目指す場合

何かしらの資格をとって就職、再就職を目指す場合、Formation(職業研修)を受けることになります。

フランスの資格には、Profession non réglementée(規制を受けない職業)とProfession réglementée(規制を受ける職業)の二つがあり、例えば規制を受ける職業には、医師、看護師、助産師等の医療関係や弁護士、公認会計士、美容師、水道技師等々の職種があります。

規制を受ける職業の中には、大学へ編入し直さなければ取れない資格があります。

一方で、例えば会計業務、貿易アシスタント、秘書、医療受付、ウェブマーケティング、ウェブデザイナー、エステティシャン等々、職業学校で3ヶ月から1年半の期間に取得できる資格もあります。

以下で、資格取得を目指す際にどんなステップを踏んでいけばいいのか、簡単に紹介してみます。

①まずはどんな資格があるのかを知る

フランスはDiplôme(学歴、資格)がモノを言う社会です。全ての職業は国から認定された「資格」があります。

どんな資格があり、どうやったら取得できるのか、それを知るためには、France Travailの職業紹介のサイトを訪れてみましょう。

MétierScope / France Travail
https://candidat.francetravail.fr/metierscope/

ページ中段に職業検索のページがあります。関心のある分野からもしくはセクターで探すのが分かりやすいでしょう。

②どこで学べるかを調べる

大学、ビジネススクール、職業学校…自分の取得したい資格を学べる場所はどこか調べましょう。
学校によっては出席のみ、オンライン授業のみ、出席とオンラインのハイブリッド等々分かれています。

また、注意したいのは、受講を希望する講座が資格取得を目的としたものかどうかです。

Formationは大きく分けて

  1. すでに持っている知識、経験を補完するもの
  2. いちから学んで資格取得をめざすもの

の二つにわかれます。

上記のFrance Travailのサイトから、希望する職業をクリックします。一例としてAssistant commercialにアクセスしてみましょう。

ページ中央から資格を取得できる学校の一覧にアクセスできます

希望する地域を選択すると、各学校が提供しているFormationの一覧が表示されます。それぞれの講座の内容と、特にそのFormationの最後にディプロムが取得できるかどうかについて確認しましょう。

ついでに、Formationを受講するために予め必要なレベルについても確認しておきましょう。

日本で高校、大学、大学院を卒業している場合は、できるだけ早いうちに日本の学位をフランスのそれに書き直しておくことをおすすめします。

③資格取得に必要な予算と期間を確認する

資格の取得にはお金がかかります。また、最低でも3ヶ月以上、職業学校等に通う必要があり、講座の開始時期も学校によって様々です。

例えばある学校では、Assistant commercialの資格取得にかかる費用として、8ヶ月のコースで9490€を提示しています。

このように、Formationの受講は大変に高額です。
そこで、自分が希望するFormationが資金援助を得られるかどうかを事前に調べておきましょう。

先のFrance Travailのサイトから資金援助の有無について、検索することができます。

ここでは、代表的な4つの支援について焦点を当ててみましょう。

  1. 自分のCPFの貯金
  2. Conseil Régional
  3. France Travail(旧Pôle emploi)
  4. OPCO
①自分のCPFの貯金

CPFについては以下の記事で詳しく紹介しています。

CPFは個々人が持っている職業訓練を受けるための個人口座で、法定労働時間の半分以上働いている全ての労働者に対して年間500€が付与され、上限の5000€まで貯蓄できます。

CPFの貯金はFormationの受講費用に充てることができます。

②Conseil Régional

一部のFormationはConseil Régional(地方評議会)の支援対象となっています。この場合、Formationの費用はConseil Régionalが全額負担してくれます。

Conseil Régionalが全額を負担するだけに、その職種は主に保育、看護、介護等の職種やシステムエンジニア関係、公共工事等々の人手不足の分野が多いです。ただし、それだけはもちろんなく、幅広く支援リストを公開しているので、Conseil RégionalのHPから直接確認しましょう。

Conseil Régionalが支援するFormationには志願者が多いので、筆記と面接の選抜テストがある場合があります。

また、自分の居住地がある地域のFormationが支援対象です。ちがうRégionのFormationには申し込みができないので注意です。

③France Travail(旧Pôle emploi)

France Travailが支援するFormationも存在します。France Travailに登録している求職者の人は受講することができます。ただし、数は少ないです。

他にも、France Travailは独自の権限で求職者が希望するFormationへの資金援助を決定することができます。

例えばエステティシャンのFormationを受けたいが、Conseil Régionalの支援対象リストに入っていない…といった場合、France Travailの担当者に相談することで、資金を援助してもらえることもあります。

ただし、内部審査を通るためには履歴書、志望動機書、計画書等々を練り上げて万全を期して挑む必要がありますが…(というのもFrance Travailの資金には限りがあるので)。

④OPCO

OPCOとは職業訓練の管理運営を行う組織です。職業訓練とは、主にContrat d’apprentissageContrat de professionnalisationを指します。この二つのContratは会社と学校を行き来して、理論と実践を同時に学んでいくことが目的です。 会社とは労働契約を結び、年齢と学年に応じて一定の給料を受け取ります。

学校と職場を行き来してディプロムの取得を目指すこの制度をAlternanceと総称します

Alternanceを希望する人は受け入れ先の企業を自ら見つける必要があります。

学生は企業側から年齢と学年に応じた給料を受け取り、学校の授業料はOPCOが全額負担します。

④France Travailの担当者に相談する

やりたい仕事、取りたい資格についての道すじが見えてきたら、必ずFrance Travailの担当者に相談しましょう。

France Travailの担当者は様々な切り札をもっています。その手持ちの札を求職者の活動状況によって段階ごとに提示してくれます。

例えばFormation中に失業保険の受給が可能かどうか、Formation中に交通費、昼食代等の補助的な援助はあるかどうか等の情報や選抜テストが実施される場合はその準備アトリエの紹介等々、さまざまな側面から求職者の活動をサポートするのがFrance Travailの仕事です。

大いに活用して、就職、転職、資格取得への活動を有利にすすめましょう。

まとめ

主に新しい資格の取得を目指す際の道のりについて解説しました。

フランスはディプロムが重視される社会です。昇進を目指すにしても、就職を目指すにしても、「資格」と「学歴」さらに「経験」が求められる場面が多いです。

一見すると堅苦しいですが、こうした企業文化に対応するために、Formationの制度は大変充実したものになっています。社会人、外国人、学業を諦めた若年層の人々がディプロムを取って労働市場に再加入できる、収入の上昇を目指すことができるシステムです。

ただ、そのシステムの中身を理解するのは、特に私たち外国人には難しい面もあります。

私が書いているFormationに関する一連の記事が皆さんの就職活動の助けになれば幸いです。

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